2010-12-14

そこな首をとれ

ぷつん、ぷつん、ぷつん、ぷつん、ぷつん、嚥下する度脳髄のおくできれいに上手に髪の毛を引き抜かれるような違和感と感覚と感触。甘やかな刺激なのである。つるりと毛穴から毛根が抜け出てゆく、一瞬の抵抗感と、その後の無抵抗感。素敵な、刺激だ。筋肉が弛緩してゆくのが分かる。瞼が萎んで脳が萎んで眼球が萎んで胃が縮む。顎がゆるむ。猥らで醜い変化なのだと思う。胃の底が渦を巻いて何事か叫んでいる。胃から、肺から、肝臓から、筋肉から、喉から口から下から汗腺から爪先から毛先から、なにかだいじなものが解けて流れ出てゆく気がする。・・・・・けれどそれも愛すべき悦楽なのである。しんのぞうがたくさんの場所に寄生したかのようにどこもかしこも脈打っている。どく、どく、どく、どく、ぞく、どく、どく、どく、永遠のようなそうでないような拍を打ち続け似非のしんぞうは警鐘を鳴らす。ああ知ったことか黙れ悦楽に死にたいのです。琥珀の液体はすべてを知っている気がするのだ、そうきっと知っている筈であるきっときっとそうに違いがない。無機物は嘘を云わない。云う必要がないからだ。無駄がないのだ。しんぞうの運動とは逆に眼球の運動が緩慢である。そう云えば指先の感覚も曖昧だ、否、触覚も。否、視覚も聴覚も思考も、否否知ったことではない。すべてはしんのぞうに託されているのです。そのほかの感情感覚一切合切切り捨てて、しんのぞうに捧げているのだ。奴だけがすべてに対してアンテナを這って張って貼って、すべてを請け負っている。腐った犬のように緩慢で、割れて流れ出した卵のような粘性!顎のあたりに張り付く脈動がひどく煩わしい。どくぞくどくどくどくぞくどくどくどくどくぞくぞくどくどくどく纏わりつく鼓動を剥がそうと瓶ごと口を着け飲み下し焼け付く食道と胃に殺意が沸きそれを忘れるため又嚥下、エンドロール、もう生きるうえで邪魔な脳ごと潰れればいい、たいせつなのは脳でなく触覚でもなく感覚でもないなにかなの、だ、とおもう。そうだといい。にんげんのたましいと言うものが宿るのは脳髄なんぞ無粋なものではなく、意識はまったくべつのところで生きているのだとおもう。そういうエゴ。代わり映えしない鬼畜の愚痴、赤く照らされた祭りの盆踊りの永遠におんなじ動きのおんなじ円をえがく運動、毎朝毎日毎夕よく理解の出来ない憂鬱と睡眠と惰眠を繰り返すおのれ、自家中毒のようになっておるのだ。そういえば江戸時代のひとは脳至上主義ではなかったそうな。からだの一部一部一部にぜんぶたましいが宿っていてそれぞれの主体性を尊重していたそうな。江戸時代のひとはすごい。現代人なんかよりずっとずっとずっと本能で本質を読み取っている。すべて他人任せでひとりよがりな現代人とは訳が違うんですな。江戸時代の、むかしの、ひとよ、現代人のアイデンティティーをぼろぼろに突き崩してくれ、ぼろくそ言って現代の「常識」とかいうものを穴だらけにしてくれたまえ。もう、自家中毒って、何。どどどどどどどどどどどどどど警鐘警鐘警戒警鐘警報、警戒せよ、警戒せよ、警戒せよ、脳の内は一所懸命に躍起なってそうやっておおきな金だらいを打ち鳴らすような傍迷惑な騒音を必死に立てている。一体何に警戒するというの。脈打つ雑然とした拍動にですか。意識外のところで動くというのが先ず我慢ならないこれを止めたいし忘れたい、細かに手が震え脳が震え胸が震え振動がからだに伝わりなにやら地震のようである。世界が揺れおのれが揺れ吐き気がしそうだ、只でさえわたしといういきものは鼓動と言うものに激しく憎悪を抱いているのだというのにどうしてこんなに耳に鳴っているのだ、何故頸に鳴っているのだ。どどどどどどどどどどどどどどどどどどddddddddd、そそけ立つような鋭敏さがあるのにこの緩慢な動きは何だ腹立たしい!意識だけはしゃっきりとしてからだはしんだ肉のようになって、優待離脱をしたかのような疑似体験、わたしは意識だけの動物になりたいのだろうか、ぷつん、ぷつんぷつん、ぷつん、思考を巡らすわたしの背後でよくわからないなにかがわたしの毛を抜いている。ああそこは後頭部か。ぷつんぷつんぷつんぷつんぷつん、ちいさなは虫類の卵でも爪で潰しているような気持ちの悪い快感、ああそんなに抜いてしまったら無くなってしまう、毛が無くなるのは結構だけれども毛と一緒に毛根と一緒になにか別の何かまだわたしのしらないなにか、生きる上での必要な原動力のようななにかが摺り足抜き足忍び足で宿主であるわたしを置いて家出しまいそうな気がするけれどもなぜだか気持ちがいいのでやめろと拒否することも出来ずそのままだ。腰抜けたような気持ちのよさ、気持ちの悪さ、表裏一体でまったく素敵。いきてるって素敵、感じるって素敵、たぶん、きっと、素敵だと思わんとやってられん。結局は丸腰で生きる勇気がないからアルコールの力を借りて飛ぶことを夢想妄想想像、脈打つ頭はそのまま破裂してしまえばよろしい。脳漿が飛び散るまで鈍器で殴られればよろしい。


ああこれだからひとりで呑むお酒は悪酔いして意味が分からなくなって結局惰眠に逃げるのだけれどわたしは本質マゾヒストだからやめられないのです。負け犬根性が染み付いてしょうがないのです。神のようなサディストを降臨する日を夢見ているのです。合掌。




わたしのできごと(アルコールに教われた日について)



ひたすら不毛な文を書くのが好きだ。
腹の足しにもなんにもなんねんだけどさ。